米国はリセッション入りが近い、と言い聞かせる投資家たち

明日のマーケット開始前に(日本時間:金曜午後9時半)、9月の米雇用統計が発表されます。下が市場予想です。

  • 非農業部門雇用者数変化(前月比):14.5万人
  • 失業率:3.7%
  • 平均時給(前月比):0.3%
  • 平均時給(前年同月比):3.2%

「ISM製造業景況指数とISM非製造業景況指数は予想以下だった。明日の雇用統計も悪そうだ」、と言う投資家たちが多いですが、CNBCはアナリストたちの意見をこう要約しています。
雇用は減速している。しかし、雇用統計はリセッション入りを否定する堅実な内容になるだろう。
グラント・ソーントンのチーフ・エコノミスト、ダイアン・スウォンク氏は、こう語っています。
雇用統計は、ひどくもなく素晴らしくもない数値が発表されるだろう。失業率安定のためには、非農業部門雇用者数が10万人増えれば十分だ。
たとえ市場予想の+14.5万人を下回ったとしても、10万人以上の数値なら問題無さそうですが、スウォンク氏はこう付け加えています。
リセッション入りが近い、と自分自身に言い聞かせることは簡単だ。しかし、その見方を信じてしまうと、そう簡単に考え方を変えることができなくなってしまう。恐怖心は雪だるま式に増大するものだ。
投資心理が株価に大きく影響することを上手く説明した言葉だと思います。たとえば今日の場合は、予想以下となったISM非製造業景況指数の発表がありました。「3年ぶりの低水準」ということが強調されましたから、多くの投資家は「リセッション入りがいよいよ近くなった」と確信しました。

下は、ダウ平均の3分足チャートです。


予想を外すISM非製造業景況指数の発表直後、目立つ陰線が形成されました(A)。正に、リセッション入りの恐怖にかられた投資家たちが株を投げたという様相です。しかし、見てのとおり下げは続かず、ダウは反発ラリーを展開して+0.47%で木曜の取引を終えました。

なぜ反発したのでしょうか?2つことが指摘されています。
  • エバンス総裁(シカゴ連銀)が追加利下げを支持する姿勢を表明した。
  • ISM非製造業景況指数が予想以下であったことは事実だ。50未満の数値なら大いに心配する必要はあるが、発表された数値は成長を示す52.6だ。言い換えると、この数値からリセッションを読み取ることはできない。
ダウ平均の日足チャートを見てみましょう。


200日移動平均線付近で下げ止まり、買いシグナルと解釈できる下ひげの目立つ陽線が形成されました(1)。入れた指標は、多くの人たちに利用されているMACDです。MACDラインがゼロを割っています(2)。一般的に、ゼロライン割れは売り基調に入ったことを意味しますから、今日の反発ラリーを見ても買うことができなかった人が多いと思われます。もちろん、明日に雇用統計を控えていますから、今日は買い難いという大きな理由もありました。

今日の反発ラリーについて、ジョン・マーフィー氏(テクニカル・アナリスト)は3つのことを指摘しています。
  • マーケットは大幅な下げから回復する強い反発ラリーを展開した。今日が転換日となった可能性がある。
  • ダウ平均は重要な8月の安値と200日移動平均線がサポートになり反発、そして9日RSIの数値は30未満から30以上に戻った。S&P500指数とナスダック総合指数も同様な動きとなった。
  • 8月の安値が重要なのは、もしそこを割ってしまうと、マーケットのアップトレンドが崩れてしまうからだ。今日の反発は、投資家たちを励ます結果となった。今日の反発がダマシでないことを証明するために必要なのはラリーの継続だ。
米国のリセッション入りが近い、と思うことは悪いことではありません。しかし、スウォンク氏が言うように、その考え方を完全に信じてしまうと適切な投資判断ができなくなってしまうので要注意です。




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