戦いが続くトランプ大統領 対 パウエルFRB議長

全米企業エコノミスト協会(NABE)の8月号に、このような意見調査結果が掲載されています。


米国が次の景気後退期に入るのはいつですか、という質問に対する経済学者の回答です。左側の青い棒線は2019年2月の調査結果、右のオレンジ色の棒線は2019年8月の調査結果を示します。

今年中(2019年)に景気後退が始まるという回答は、2月の10%から2%に減っています。同様に、2020年という回答も2月の42%から38%に減っています。増えたのは2021年という回答が25%から34%、そして2021年以降という回答が2月の11%から14%になりました。ということで、今回8月の結果を使って計算すると、2020年(38%)、2021年(34%)の間に景気後退入りを予想するアナリストは半数を超える72%です。

多くの投資家たちが景気後退を予想する理由の一つは、長短金利の逆転(逆イールド)です。

  • 米2年国債の利回りと10年国債の利回りが逆転した。過去50年間を振り返ると、全ての景気後退前には利回りの逆転現象が起きている。(FOXビジネス)
スリ・クマー・ストラテジーズの社長、スリ・クマー氏は、こう語っています。
  • 過去を振り返って言えることは、株式市場より国債利回り逆転の方が景気後退入りの予想に役立つ。たとえば前回の景気後退が始まった1年前の2006年10月と11月に、2年国債と10年国債の利回りの逆転が起きていた。しかし、景気の後退が始まっていたにもかかわらず、米株式市場は2008年の中頃まで好調だった。更に、原油価格がピークになったのは2008年の5月だった。
下は、APの見出しです。


ホワイトハウスは、米経済のファンダメンタルズはとても強いことを強調。
もしそうであるのなら、トランプ大統領は、なぜ100ベーシスポイントの大幅金利引き下げをパウエルFRB議長に要求しているのでしょうか?
トランプ大統領は100ベーシスポイントの金利引き下げ、そして量的緩和を連銀に要求している。これら二つの対策は、米国経済が緊急事態にある時のみ実施されるべきものだ。-- マイケル・スナイダー(政治活動家)
「大幅金利引き下げと量的緩和を叫ぶトランプ大統領は、現在の米国経済は極めて危険な状態にあることを認めている」、と解釈されてしまうことでしょう。

投資家たちがもう一つ指摘しているのは、大統領の2011年9月29日のツイートです。


低金利、そして市場をドルで溢れさせている連銀の無謀な金融政策をストップさせる必要がある。そうしないと、米国は記録的なインフレに直面することになる。
なぜ大統領は意見を変えたのでしょうか?多くの人たちは、「2020年の大統領選挙」が理由だと言います。たしかに、景気が後退してしまったのでは再選は無理ですから、大幅金利引き下げを要求するのは当然かもしれません。

大統領自身は、こう述べています。
ビジョンを欠くパウエルFRB議長にもかかわらず、米国経済はとても強い。利己的な民主党は2020年の選挙のために、米国が景気後退入りになることを望んでいる。連銀は、比較的短い期間で金利を少なくとも100ベーシスポイント下げるべきであり、同時に量的緩和を実施することが好ましい。そすれば米国経済は一層良くなり、世界経済も向上するだろう。
言い換えると、「もしパウエル議長が大幅金利引き下げを実施しないなら、パウエル議長も利己的な民主党と同様に米国経済の減速を望む一人だ」と大統領は言っているのです。パウエル議長とトランプ大統領の戦いが続きます。



コメント

アオ健 さんの投稿…
景気の後退が始まっていたにもかかわらず、米株式市場は2008年の中頃まで好調だった。>>そうでしたっけ?2008年年初から株式市場は下降トレンドに入っていたかと思います。パリバファンドのクローズやベアスターンズの救済が材料だったかと思います。もちろん暴落に至ったのは9月のリーマン破綻ですが。