不安定なマーケットの原因究明に悪戦苦闘する投資家たち

ブッシュ元大統領の葬儀が行われ、水曜の米国株式市場は休みとなりました。この思わぬ休日で、昨日の大幅下落を振り返っている人たちが多いことでしょう。下はダウ平均の日足チャートです。


下げ幅は799ポイント、パーセンテージに直すと3.1%という大きな下げとなり、目立つ陰線(A)が形成されました。こんなに大きな陰線を見たら、「もう2、3日下げそうだ」と多くの人たちは思っていることでしょう。

昨日の様子を、もう少し詳しく見てみましょう。下は、ダウ平均の5分足チャートです。


先ず、1が寄付きです。弱めのスタートを切ったことは確かですが、2で分かるように、マーケットは下げ渋り横ばいとなりました。しかしニューヨーク時間12時、下放れが突然起きました(3)。「なぜ突然下げたのだろう?」という疑問に対する回答として、マスコミは「イールドカーブの逆転」、そして「疑問な米中貿易戦争休戦の信憑性」をあげていますが、それらのことは寄付き時点で分かっていたことです。

イールドカーブ、そして貿易戦争休戦の信憑性が正午に起きた突然の下げ原因でないのなら、いったい何が売り材料となったのでしょうか?マイケル・クレーマー氏(モット・キャピタル・マネージメント)は、BBCからのこのニュースを指摘しています。



赤い四角で囲った部分を見てください。報道された時間は米国西海岸時間午前9時2分です。ニューヨークの時間に直すと午後12時2分になり、突然の下げが始まった時刻と一致します。

結論を先に言うと、クレーマー氏は「正午に突然始まったマーケットの崩れは『ブレグジット(英国の欧州連合からの脱退)』に関する報道が原因である」と憶測しています。下が、BBCニュースからの抜粋です。
英国の欧州連合(EU)離脱についてメイ英政権がEUと合意した離脱協定について、政府の説明が不十分だとして英下院は4日、内閣による議会侮辱動議を可決した。下院は11日、ブレグジット(英国のEU離脱)合意について議決する。
議会侮辱動議が可決されたことを受けて、EUと交わしたブレグジット合意について内閣が法務長官から受けていた助言の全容を議会に公表すると、内閣は議会に約束した。
ブルームバーグは、こう報道しています。
欧州連合(EU)が正式決定した英国との離脱合意案について、英議会の承認を得るための5日間の審議が4日スタートした。最終的な採決を11日に控えて、メイ首相はこれまで非公開となっていた離脱案に関する政府への法的助言の開示を求める下院での採決で敗北を喫した。首相は5日に文書を公表することを約束せざるを得なくなった。
離脱合意案が11日の下院採決で予想通り否決された場合、離脱最終合意の形成で議会の権限を強化する案も4日に可決され、離脱案の議会承認を目指すメイ首相の立場の弱さが際立つ結果となった。
同時刻、英議会についてツイートしていた松崎美子氏(ロンドンFX)も、こんなことを記しています。



四角内で分かるように、時間は米西海岸時間午前9時18分、ニューヨークの午後12時18分です。


ツイートがあった時間は午前9時19分、ニューヨークの午後12時19分です。

ということで、今回の負けでメイ首相は3連敗となり、ブレグジットの行方がまたまた分からなくなってしまいました。「このニュースが報道された時、ヨーロッパのマーケットは既に閉まっていたから、開いていたニューヨーク市場が真っ先にこの悪材料と解釈できるニュースに反応した」というのがクレーマー氏の見方です。
マーケットを動かす要因は色々あり、「これだ!」と言える決定的な一つの原因を指摘することは難しい。クレーマー氏の話から分かることは、最近の不安定なマーケットの原因究明に投資家たちは悪戦苦闘しているということだ。-- マーク・デカンブレ(マーケット・ウォッチ)

(情報源:This Is Why Stocks Fell and It Wasn’t Trade or Yield Worries

英下院、メイ内閣が議会侮辱と動議可決 ブレグジット合意めぐり

メイ首相の劣勢際立つ、英離脱案の議会採決-「プランB」観測も

松崎美子氏のツイッター

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