迫るイギリス国民投票、議員殺害事件で国民の意見は変わった?

英国のEU離脱、残留を決める投票が23日に迫っています。今週のニュースで、最も衝撃的だったのはこれではないでしょうか?
英労働党の下院議員、対話集会で撃たれ刺され死亡
殺されたのはジョー・コックス氏、英国のEU残留を支持する議員です。 

ジョー・コックス議員(写真:ロイター)
目撃者の話によると、犯人は発砲する前に、「英国第一(ブリテン・ファースト)」、と二度叫んだそうです。「ブリテン・ファースト」というのは英国に存在する極右団体の名称でもあり、「ブリテン・ファースト」という言葉は、離脱支持者の間でスローガンとして一般的に使われています。

この犯罪は凶悪です。
地元バーストルの対話集会で有権者と意見交換していた同日午後1時前に、男が近づき繰り返し発砲し、倒れた議員を数回刺して逃走した。警察は数分後に現場近くの通りで、犯人とみられる男を取り押さえ逮捕した。
下は、この事件が起きる前までの意見調査結果です。

チャート:ゼロヘッジ
Aで分かるように、最近はEU離脱を支持(Leave)する人たちの数が残留を支持(Remain)する人たちの数を上回り、英国離脱の可能性が濃くなっています。さて、コックス議員の殺害事件で状況は変化したでしょうか?

ロンドンのQriously社が6月13日から16日まで、そしてコックス議員が殺された翌日の17日に意見調査を行いました。結果は、「離脱支持」は52%でした。興味深いことは、この数値は事件前も52%、そして事件後も52%です。更に興味深いことは、残留支持者が減り、「どう投票したらよいか分からない」という意見が9%から16%に大幅に増えました。

私にはコックス議員は「殉教者」のように見えました。単に撃たれただけでなく、犯人は彼女が倒れた後、数回も刺しているのです。極めて残酷であり、人間のすることとは思えません。この議員の死を痛み悲しむ人が増え、当然の結果として、EU残留意見が大幅に増えると思いました。しかし、残留支持者数は減って、「どう投票したらよいか分からない」に意見を変えてしまったのです。

USA TODAYには、こんなことも書かれています。
英国の世論調査会社(YouGov)のスティーブン・シェイクスピア氏は、こう述べている。「コックス議員の死は投票に大きな影響を与えるとは思わない。しかし、議員の死で離脱派、残留派の活動が変化するだろうから、これが国民の意見に影響を与えることになると思う。」
繰り返しになりますが、現地人ではない外から状況を見る私にとって、議員の死が「EU残留支持意見」を減らす結果になったということは意外でした。

(参照した記事:英労働党の下院議員、対話集会で撃たれ刺され死亡 

EU残留派の英女性議員ジョー・コックス、銃撃のうえ刺され死亡、国民投票控え衝撃広がる

First Brexit Poll After Jo Cox Death Reveals Stunning Result

EU support falls after Jo Cox murder)

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