注目の商業不動産、自動車業界、そして小売セクター

昨日のブログで書いたことですが、約15万人のメンバーを持つAAIIが最近行った意見調査によると、メンバーの36%が、「史上最高値に迫るS&P500指数に納得できない」、と答えています。

S&P500指数(週足)
納得できない理由はこれです。

米国企業の収益が悪化しているにもかかわらずマーケットは上昇している。こんな状態が長く続く筈がない。
スタンスベリー・ダイジェストによると、今年の第1四半期で、米国企業利益は3四半期連続で減少です。更に、こんなことが指摘されています。
JPモルガンによると、過去115年間を振り返った場合、米国企業利益が2四半期連続で下降すると81%の確率でリセッション(景気後退)が訪れる。
景気後退の心配があるにもかかわらず、S&P500指数は高値に迫っている訳ですから、このマーケットの動きに納得できないという声が上がるのは当然です。もちろん、経済と株式市場は同じではありません。経済と株式市場の違いを説明した、「犬と散歩」の話を再引用します。
男と犬が一緒に公園を散歩している。お決まりのコースを毎日歩くのだが、たとえ鎖でつながれていても、犬は真っ直ぐに歩くことはない。近くにいる鳩、通り過ぎる自転車を見るたびに犬は吠え、右へ左へと走り回る。男は時々歩く速度を変えて散歩を続ける。犬は相変わらず忙しく動いているが、最終的にいつものように散歩は終わる。公園にいる人たちは、元気のよい犬に目を向けるが、この男を見る人は一人もいない。なぜなら、男の動きには面白さが全く無いからだ。皆さんには、どちらが経済で、どちらが株式市場であるかが既にお分かりだと思う。
S&P500指数だけを見ていたのでは、マーケットに迫る危険を適切に察知できないので、スタンスベリー・ダイジェストは、米国経済に重要な次の3つも同時に監視することを勧めています。
・ 商業不動産
・ 自動車業界
・ 米国小売セクター
商業不動産の様子を把握するのに役立つのは、バンガード・リート(REIT)・ファンドです。下が週足チャートです。


今のところ、高値圏で確りしています。70ドル付近に走るサポートライン割れが危険シグナルになります。

自動車業界を見るためにはGM(ゼネラルモーターズ)が役立ちます。

GM週足チャート
高値、安値が顕著に切り下がり、弱さが既に見えています。
米自動車業界は、中古車価格が5%から6%ほど今年下落することを予想している。2008年以来、中古車価格が下落したことは一度もない。2014年以来、サブプライム自動車ローンが乱発し、これは自動車業界が中古車価格の下落を予期していたことを示している。近い将来、GMの好決算は、支払い能力を欠く人々への自動車ローンに頼っていたことが明白になるだろう。(スタンスベリー・ダイジェスト)
小売セクターを監視するには、SPDR S&P Retail(XRT)という小売ETFが便利です。下が週足チャートです。


見てのとおり、上昇するトレンドラインを既に割っています。Aで分かるように、ETF価格は割ってしまったトレンドラインの上に戻ることができない状態です。1月の安値(B)を下回ると、明確なダウントレンド入りになります。ご存知のように、小売セクターを支えるのは米国の消費者です。米国GDPの約三分の二は個人消費で占められているだけに、この上昇するトレンドライン割れは気になります。

スタンスベリー・ダイジェストの結論は極めて悲観的です。
米国に訪れるのは単なる景気後退ではない。2016年の夏は終焉の幕開けとなるだろう。
終焉となるかは疑問ですが、下のS&P500指数の月足チャートを見てください。


2009年の安値から2015年の高値で測った場合、Aで分かるように、S&P500指数は23.6%の値戻しレベルのテストを既にしました。多くの人たちが指摘しているように、米国企業の利益は悪化が続き、更にリセッションの心配もある訳ですから、マーケットは38.2%の値戻しレベル(B、1570付近)をいずれテストすることになると思います。

(参照した記事:Porter Stansberry: 'The next panic is about to begin')

コメント