個人投資家: 記憶にあるのは最近のことだけ


1ヶ月前よりトレードが上手くなった、と思う人は手を上げてください。では、その上げた手で自分の顔をピシャリと叩いてください。あなたのトレードは上手くなっていません。

人を馬鹿にしたようなジャクソン氏のツイートですが、この言葉には一理あります。ウォール街には、こんな諺があります。
上げ相場では、すべての人が天才投資家だ
下は、ダウ平均の日足チャートです。



矢印の方向で分かるように、1ヶ月前は下げ相場、そして最近は上げ相場です。個人投資家のほとんどは空売りなどしないで買いが中心ですから、下げ相場では損を出し、その反対に上げ相場では利益が生まれます。要するに、利益が出たのは投資家の腕というより、上げ相場が原因であると言った方が正解です。

もう一度、上の日足チャートを見てください。来週のダウ平均は上がると思いますか、それとも下がると思いますか?

こんなツイートがあります。


今週、1254人の人たちがKitcoのオンライン意見調査に参加した。来週も金価格は上昇するだろうという強気意見は1047人、83%だ。

下は、金価格に連動するETFの日足チャートです。


矢印で分かるように、2月に入ってから上昇が顕著になり、最近は明らかな上げ相場です。

直近効果という言葉がありますが、投資心理の研究で知られるブレット・スティーンバーガー氏によると、投資家やトレーダーも直近効果の罠にかかりやすい傾向があります。
トレーダーたちにチャートを見てもらった。一つのグループには株価が最近上昇しているチャートを見せ、もう一つのグループには、それとは反対に株価が最近下げているチャートを見せた。結果は予想どおりだった。下降するチャートを見たグループは、これからも株価は下がるだろうと答え、上昇するチャートを見たグループは、上げが続くだろうと答えた。
更にスティーンバーガー氏によると、直近効果は、自分のトレードを評価するときにも起きます。たとえば、あるトレーダーが最近10連勝したとします。こんなことが起きると、通算成績が20勝40敗であったとしても、自分のトレード方法は正しいと判断してしまいます。これとは反対に、たとえ通算成績が50勝11敗であったとしても、最近10連敗なら自分のトレード方法は間違っていると判断し、トレーダーによってはこの勝率の高いトレード方法を捨ててしまいます。

「トレンドは友である」、という相場の格言があるように、私たちはトレンドに乗った投資が大切である、と教えられてきました。この考え方もスティーンバーガー氏によると、「直近効果」の犠牲となってしまう原因です。

MACD、RSI、と売買タイミングをつかむ指標が色々ありますが、これらの指標も直近効果の罠となる傾向があります。6つの指標を使ってトレードしたとします。6つの全てから買いシグナルが出たら、おそらく私たちは迷うことなく買い、6つ全てが売り点灯なら躊躇せずに売ることでしょう。しかし、スティーンバーガー氏によると、そのやり方では良い結果が出ません。買いシグナルが圧倒的に多い日にS&P500指数に連動するETFを買うと、向こう5日間の平均リターンはマイナス0.58%になり、売りシグナルが圧倒的に多い日に買った場合は、向こう5日間の平均リターンは+0.4%です。

スティーンバーガー氏は、こう結論しています。
この動きに乗り遅れたくない、これ以上の損は出したくない、と様々な理由があるが、トレーダーたちは直近の値動きをあまりにも重要視しすぎている。良い結果を生むのは、皆があまりにもヒドイと感じるマーケット環境での買いであり、何も不安を感じないトレードは好結果に結びつかない。

(参照した記事:The Deadly Trading Bias Affecting Stock Market Traders

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