私たちは塩漬け投資家になる運命にある?

証券アナリストのマイケル・ゲイドさんは、こんなことを指摘しています。
人々の株投資の成績は以前の方が良かったようだ。主な理由は二つある。①昔は手数料が高かったから、今日のように頻繁な売買をすることができなかった。②以前は、今日のように豊富な量のリアルタイムの情報が無かった。

塵も積もれば山となる、という言葉があるように、どんなに手数料が安くても頻繁に売買をしていたのでは、年間に払う手数料はバカにならない額に達します。しかし、コンスタントに利益を上げているのならトレードの回数は問題にならない、という考え方もあります。言い換えると、連敗連敗という状態なら頻繁なトレードを続けることは必然的に不可能になります。

株を頻繁に売買することで有名なのはデイトレーダー、そして数日間でトレードを終わらせてしまうスイングトレーダーたちです。近年では、コンピュータを駆使してミリ秒の世界でトレードを行うHFT(高頻度取引)も台頭し、頻繁なトレードは、もはや人間には手の届かない超速度に達しています。

極論すると、「頻繁な売買はやめなさい」、という言葉はデイトレーダーやスイングトレーダーを非難していることと同じです。頻繁な売買を批判する人たちは長期投資の信奉者であり、短期売買は単なるギャンブルであるという見方をしています。

長期投資が真の投資方法である、と主張する人たちがよく指摘するのは長期チャートです。一例として、ダウ平均の月足チャートを見てみましょう。


長期投資を勧める人たちが言いたいことはこれです。「浮き沈みはあるが、株は長く持っていれば必ず上がる。バタバタと何度も売買していたのでは、大きな利益を上げることはできない。」

これも極論ですが、私たちは長期投資家になる運命、ひどい言い方をすれば「塩漬け投資家」になる運命にあるようです。下の二つのチャートを見比べてください。

資料:セントルイス連銀
マネーマーケット・ミューチュアル・ファンド(MMF)への資金の流入、流出が示されています。2004年から2008年の第1四半期にかけて資金が大きくMMFへ流入し、2008年の第2四半期から2010年にかけて資金が大きく流出しています。

下はダウ平均の月足です。


2003年~2007年はブルマーケット、そして2008年は惨憺たる下げ相場です。何かヘンではないでしょうか?もう一度言いますが、2003年~2007年は強力な上げ相場が展開されましたが、人々は資金を現金と同様であるマネーマーケット・ミューチュアル・ファンド(MMF)へ移動させていました。言うまでもなく、この期間はMMFではなく株へ資金を移すべきです。

株式市場は2007年10月がピークとなりましたが、その直後からマネーマーケット・ミューチュアル・ファンド(MMF)から資金の流出が始まっています。流出した資金はどこへ向かったのでしょうか?言うまでもなく、好調な株式市場を見て、多くの資金が株式市場へ向かったことでしょう。現に、2007年10月24日には、こんな記事がニューヨーク・マガジンに掲載されています。



人々は下線を引いた部分だけに注目したことでしょう。
・ Lucky 2007 ラッキーな2007年
・ big winning on Wall Street ウォール街の大勝利
2008年のマーケットは15%の上昇が期待できるという、とにかく強気な記事です。

私たちはマーケットの底で弱気になり、マーケットの天井で超強気になる傾向があります。最初から間違ったタイミングで株式市場へ向かう性癖があるわけですから、私たちは必然的に塩漬け投資家になってしまう運命にあるようです。

(情報源:The worst thing to happen to investors

Lucky 2007

コメント

amelie さんの投稿…
先日はありがとうございました
とても今回も参考になる記事ありがとうございます
こちらの記事によりますとMMFが1,200,000ぐらいまでいくとまた、株式も暴落ということでしょうか?
T Kamada さんの投稿…
amelie さん

ここでMMFのチャートを見ることができます。(https://goo.gl/IWFG7R)

いくら以上になったら天井、というように実際の金額では判断できませんが、個人投資家たちのタイミングの悪さを見ることができるチャートです。たとえば、90年代後半から2000年までのブルマーケットでは、MMFへの流入資金が増えています。MMFから資金が流出し始めるのは、株式市場がピークとなった2000年の8月直後からです。

このチャートは四半期ごとに発表されるものですから、株の売買タイミングには使うことはできません。