マイナス金利実施に必要なキャッシュレス社会

(下はThe Cruxに掲載されていた記事を翻訳したものです。)

ダボス会議には世界のエリートが出席する。BBCの報道によると、ダボス会議には3種類のミィーティングがある。
1、パブリック・ミィーティング: 誰でも参加できる
2、クローズド・ミィーティング: 招待された人たちだけが出席できる
3、シークレット・ミィーティング: いつ開かれ、誰が出席するかは全く公表されない
最も重要なことはシークレット・ミィーティングで討論され、今回の場合は、マイナス金利を効果的に実施するために、いかにキャッシュレス社会を実現するかについて話し合いがあったと思われる。

写真:The Cruxから

マイナス金利は銀行へ1000ドル預けたら年末には950ドルになっているようなものだから、貯蓄することが極めて難しくなる。しかし、マイナス金利を実施することで、中央銀行は個人消費が上向きになると考えている。

収入を超える買い物はしない。そして、毎月こつこつと貯蓄することの大切さを私たちは教えられてきたが、マイナス金利はその教えに真っ向から反対するものだ。

マイナス金利が嫌なら、私たちは銀行から金を下ろして、現金を自宅に保管することができる。もちろん、中央銀行が狙っているのは国民が金を使うことだから、現金が自宅の金庫の中へ保管されることなど欲していない。こんな問題を防ぐのに役立つのが「キャッシュレス社会」の実現だ。

キャッシュレス社会を実現するために先ずできることは、大きな額の紙幣の印刷を止め(日本の場合なら1万円札)、そして社会に流通している大きな額の紙幣を最終的にストップさせる。更に、一定額以上の現金取引を禁止する。フランスは1000ユーロ以上の現金取引は既に違法だ。

米国の場合は、札に印刷されているシリアルナンバーが9で終わるものを全て無効にすることを提案するグループが存在する。方法はいろいろあるが目的は一つ、「現金取引を不便なものにさせ、全ての人々に電子決済を使わせること」だ。ロン・ポール氏(米国の元政治家)が言っていたように、キャッシュレス社会は国税庁が望む夢の実現だ。現金なら隠れた取引ができる。しかし、全ての取引が電子決済になってしまえば、人々は政府の目から隠れることはできない。

黒田総裁は、マイナス金利実施には否定的な考えを述べていた。黒田氏は1月20日から23日までダボス会議に出席し、1月29日にマイナス金利導入を発表した。なぜ黒田氏は突然考えを変えたのだろうか?ダボス会議では、世界のリーダーたちが「キャッシュレス社会」実現について話し合ったことは間違いなさそうだ。

ダボス会議以来、既にこのようなことが起きている。
・ 1月20日: ドイツ銀行のCEO、ジョン・クライアン氏は10年以内に現金が社会から無くなるだろう、という見方を発表した。
・ 1月22日: ノルウェー最大の銀行DNBは、国民に現金取引をひかえることを呼びかけた。
・ 1月29日: ブルームバーグは「Bring On the Cashless Future」と題された、キャッシュレス社会を求める論説を掲載した。
・ 2月8日: ハーバード大学名誉教授ピーター・サンズ氏は、「Making it Harder for the Bad Guys」という論文を発表した。この中で氏は、100ドル紙幣のような大きな額の紙幣を廃止して、テロリストや麻薬密売組織と戦うことを提唱している。(犯罪組織は大きな額の紙幣を使うことで知られている。)
・ 2月15日: マリオ・ドラギECB総裁は、500ユーロ紙幣の廃止を基本的に決定したことを発表した。500ユーロ紙幣は現在流通している全ユーロ紙幣の約30%を占め、JPモルガンのアナリストによると、これを実施することでECBは金利をマイナス4.5%まで下げることができる。
・ 2月16日: クリントン政権時代に財務長官を務めたローレンス・サマーズ氏の書いた100ドル紙幣廃止を求める記事、「It’s time to kill the $100 bill」がワシントン・ポストに掲載された。
・ 2月16日: モノポリー・ゲームで知られるHasbro社は、モノポリー・ゲームの紙幣を廃止してバンクカードの使用を発表した。
・ 2月22日: ニューヨーク・タイムズは、100ドルのような高額な紙幣を廃止することで、犯罪組織と戦うことができる、という内容の論説を発表した。

メーッセージは明確だ。世の中は、キャッシュレス社会へ向けて確実に動いている。そして、米国にもマイナス金利が実施されることになるだろう。

(情報源:The hidden agenda of Davos 2016 was eliminating cash...)

コメント

An Itoh さんの投稿…
マイナス金利は銀行に預けたお金に適用される。しかし、現金を引き出して自宅の金庫にお金を保管しておけば金利はかからない。しかし、それはマイナス金利を用いる中央銀行の思惑、つまり消費・投資を活性化させることにはつながらない。だから、ダボス会議などで各国のエリートたちは、いかにマイナス金利の効果を引き出すかについて論じる中で、「現金を廃止する」方法を実行しようとし始めている。そして、それはすでに徐々に始まっている。フランスでは1000ユーロ以上の現金取引は違法だ。今後、「マイナス金利」と同時に「キャッシュレス社会」が広がっていくだろう。
お金を「プール」させる時代から「流れるプール」のようにお金がぐるぐると回る時代に変わっていく。