北朝鮮が今年のマーケットに大きな悪影響となる???

水曜の米国株式市場は、S&P500、ダウ、ナスダックの3主要指数が揃って1%を超える下げとなりました。こんな中で目立ったのは1.63%の上昇となった金のETF、iShares Gold Trust (IAU)です。日足チャートを見てみましょう。


Aで分かるように、ETF価格は安値圏に形成されていた横ばいゾーンを上放れました。今日の出来高は特大です(B)。平均すると、毎日670万株ほどの出来高がありますが、今日の量は2100万株を超え、「いよいよ金の上昇相場が始まった」、という声も聞こえてきます。

もちろん、中長期トレンドを示す2本の移動平均線は相変わらず下げ方向ですから、売り手が再度攻撃してくるのは時間の問題です。


一先ず注目したいのは、レジスタンスになる可能性がある、10月の高値から12月の安値で測定した38.2%の値戻しレベルです(1)。更に今日の1.63%の上昇で、ストキャスティクスは80を超えて買われ過ぎレベルに達しています。

もう一度、一番上のチャートを見てください。膨大な出来高を伴っての上放れですから、これは買いシグナルです。北朝鮮の水爆実験が買いの一材料になったことは明らかですが、4日にユーラシア・グループから発表された2016年の世界の10大リスクには北朝鮮は含まれていません。

資料: 日本経済新聞
7番目に「予測できない指導者たち」が入っていますが、これはロシアのプーチン大統領、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領、そしてウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領のことであり、北朝鮮の金 正恩は含まれていません。
現に、多くの投資家たちは、2016年の心配材料リストに北朝鮮を含めていない。昨日の水爆実験は、北朝鮮が今年のマーケットに大きな悪影響になるという警報だったのだろうか? -- ポール・ラモニカ(CNNマネー)
ユーラシア・グループのイアン・ブレマー氏は、こう語っています。
北朝鮮が原因でマーケットが下がったのなら、それは買いチャンスだ。水爆の実験は突然行われたのではなく、予定どおり行われたものだ。来週、この水爆の件で私に質問する人は一人もいないだろう。北朝鮮のことなど誰も気にしていないのだ。もちろん、金 正恩が中東の一国のリーダーなら話は別だ。幸運なことに、金 正恩は中東にいない。
レイデンバーグ・タルマンのフィル・ブランカト氏も同様な見方です。
世界には様々なリスクがあるが、北朝鮮はその一つではない。もしイランが核実験をしたというのなら、マーケットは極めて大きな下げとなったことだろう。
PNCアセット・マネージメントのビル・ストーン氏は、「波乱な中国株式市場、そして下げの止まらない原油という二つの大きな材料でマーケットは既に下げていただけに、今回の北朝鮮がどの程度の売り材料となったかはよく分からない」、と述べています。

ということで、北朝鮮は世界のリスクにはならない。しかしアジアには不安材料、特に韓国には大きな心配材料だ、というのがアナリストたちの見方です。

さて、ユーラシア・グループのブレマー氏が言うように、もし1週間後には北朝鮮のことが完全に忘れ去られているのなら、北朝鮮が金の買い材料に再度なることはありません。今日のブレイクアウトは一日だけのイベントで終わってしまうのか、それとも強い買いの後続があるかに注目です。

(参照した記事:16年の10大リスク、欧州問題が引き続き上位 米調査会社 

Should investors worry about North Korea?

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