ほとんどのトレーダーが思っていること: 私は平均以上のトレーダーです

70%の人々は、自分の身体的な魅力は平均以上だと思っている、という調査結果があります。そして、ほとんどの人たちは、自分の運転技術は平均以上であると思っている、という調査結果もあります。単純に結論すると、私たちは自分の能力や技術を過大評価する傾向があるようです。


この能力の過大評価について、トレーダー・コーチとして有名なブレット・スティーンバーガー氏は、こんなことを述べています。

私がトレーダー・コーチとして働き始めて直ぐに気が付いたことは、成功しているトレーダーは極めて少ないということだ。80%を超えるデイトレーダーは、トレードを始めて6カ月以内に資金を減らしてしまい、トレードによる損は長期間にわたって続く。しかし意見調査をして驚いたことは、負け続けているトレーダーたちは、自分は平均、またはそれ以上のトレーダーだと思っていることだ。彼らは、トレードで損が出るのは難しいマーケット環境が原因であり、何カ月も損を出し続けるのはトレード習得過程の一部にすぎないと信じている。
利益を上げることができないのなら、自分のトレード技術は平均以下だと判断するのが普通だと思うのですが、現実は正反対です。車の運転という事についてですが、マイケル・ロイ氏(心理学者)は、このようなことを語っています。
ほとんどの人たちは、自分の運転技術は平均以上だと評価しているが、他人はおそらくそう評価しないだろうとも答えている。
ロイ氏が指摘しているのは、人によって違う良い運転技術の定義です。極端な例ですが上の写真を見てください。運転中にコーヒーを飲んでいるだけでなく、携帯電話も使っています。もちろん、運転中の電話使用は違法ですが、「俺はこんな危険なことをしていても事故無く運転できる。俺の運転技術は優れている」、ということになってしまいます。しかし、安全運転を第一とする人ならコーヒーなど飲まず、運転中の通話など、とんでもないことです。安全を最優先させる人には、ハンドルを両手でしっかり握り、前方に絶えず注意を払うことが良い運転技術です。

話をトレードに戻しましょう。損を出し続けていても、私たちは、なぜ平均以上のトレーダーだと思ってしまうのでしょうか?この理由を説明する一つとして、スティーンバーガー氏はマリア・ポポバ氏のコラムを挙げています。ポポバ氏によると、私たちが自分は他人より優れていると思い込む傾向があるのは、それが私たちの生存にかかっているからです。

3カ月、6カ月、12カ月と経過したにもかかわらず利益を相変わらず上げることができないのであれば、トレードなどやめるべきだ、と結論することができます。しかし状況はどうであれ、自分は平均以上のトレーダーだ、と信じることができればトレードを継続することができます。大げさな言い方をすれば、日本人の全てが自分は平均以下だと思っていたら日本が経済大国になるのは不可能であったばかりではなく、とうの昔に日本民族は滅んでいたことでしょう。

トレードで成功してやる、トレードで食っていくのだと決断したからには、2年や3年の失敗で諦める訳にはいきません。自分はバカだ、平均以下だなどと思っていたのでは直ぐに挫折してしまいますから、トレーダーとして生き残るためには、「自分には必ずできる」、と信じ込んでしまうことも大切と思います。3年やってもダメならトレードなど諦めろ、という意見もありますが、私の好きな言葉は「成功する秘訣は諦めないこと」です。

自分を信じるといっても、いつも人々に自信満々の態度を示す必要はありません。スティーンバーガー氏によれば、ファンド・マネージャーとして成功している人は戦士と言うより心配性型の人が多いようです。自信満々で大きく賭けるのではなく、この投資にはどのような罠があるだろうか、といったことを先ず考えることができる人が投資の世界で長生きすることができるようです。

(参照した記事:How We Fall For The Greatest Con Job Of All

How Our Delusions Keep Us Sane: The Psychology of Our Essential Self-Enhancement Bias

When It Comes To Driving, Most People Think Their Skills are Above Average

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