2015年10月7日水曜日

債券市場からのメッセージを見てみましょう

トマス・キー氏(ストック・トレーダーズ・デイリー)のコラムが気になったので、そのことについて書きます。要点はこれです。


左側は米国債のETF、右側はS&P500指数(大型株指数)の最近3カ月間の日足チャートです。8月下旬、株式市場は大幅下落、そして最近はやや回復して横ばいになっています。株が回復しているのだから、国債へ避難した資金は株へ戻る筈だ、と思ってしまうのですが、矢印で分かるように国債のETFの上げ方向に変化はありません。これは何を意味するのでしょうか?

国債だけでなく社債も含めますが、「債券市場は株式市場より賢い」、という言葉があります。こう言われるようになったのは、アップル、フェイスブック、グーグルなどの例で分かるように株は身近な存在ですが、債券が人々の間で話題になることは滅多にありません。人気株は気軽に売買されるだけでなく、感情的、衝動的な売買が多いのに対し、債券に投資をしている人たちは比較的落ち着いています。キー氏は、こう書いています。
債券市場には賢い資金が集まる。債券市場に投入される資金は株よりも多く、債券投資家には株投資家などよりも、もっと明確な投資目的がある。賢い資金の動きを監視することは重要であり、米国債のETFの動きが示していることは、株式市場の調整は終わったと判断するのはまだ早すぎるということだ。
繰り返しになりますが、投資家たちが株式市場の調整は完全に終わったと判断しているなら、国債が売られて株式市場へ資金が本格的に戻る筈です。国債市場が株式市場より賢いかどうかは別として、上のチャートには、投資家の心理がよく表れていると思います。

安値から回復したのは事実ですが、夏の高値に達する前に横ばいとなってしまったS&P500指数には、ここで本当に積極的に買ってよいのだろうかという投資家たちの迷いを見ることができます。同様に、国債のETFのチャートからも株式市場に対する不信を読み取ることができますが、キー氏はこんなことも指摘しています。
国債が売られることなく引き続き買われているということは、債券投資家たちは、年内の金利引き上げは無いと見ている訳だ。
投機欲を判断する方法の一つに、米国債(安全志向)とジャンク債(投機欲)の比較があります。


ジャンク債のETFと米国債のETFを比較したものです(ジャンク債のETF÷米国債のETF)。矢印を二つ入れましたが、矢印が上昇している局面では投機欲が強く、下降している場面では安全な国債に資金が向かいます。言い換えると、株投資に適しているのは、矢印が上昇している時であり、現在は株に良い環境ではありません。債券市場が株式市場より本当に賢いかどうかは分かりませんが、債券市場からのメッセージに耳を傾けることも大切です。


(参照した記事:The world’s smartest investors weigh in on risk

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

なるほど!

匿名 さんのコメント...

いつも興味深い記事をありがとうございます。

米国の債券ETFを10種類くらい保有して、ほぼ毎日値動きを見ています。
全般に年始めから急落していたのが、直近の4ヶ月では、米国債のIEF,EDV,VGITなどは反転上昇傾向、 CIU,BLV,社債のLQD,VCLTなどは横ばいです。

私の印象では、利上げを見込んで下げてきたものが、利上げ延期の見通しで買い戻されたり様子見になっているのかなと思っています。利上げが現実化するまで、しばらくはこんな感じかなあというところです。

株式も、利上げが実施されてあく抜けするまでは買いにくいでしょう。

参考になる記事が多いので、今後ともよろしくお願いいたします。

T Kamada さんのコメント...

匿名さん

コメントありがとうございます。

多くの国債ETFを監視しておられるのですね。ETFには沢山の種類があるので、セクターの動向を見るのに役立つと思います。

こちらこそ、よろしくお願いします。