後知恵と株投資

「買っておくべきだった」、「売るのが早すぎた」、などと株の売買で後悔することがあります。言うまでもなく、事が実際に起きた後で判断することは簡単であり、「後知恵の的中率は100%」という言葉もあります。昨日のブログで、ドラスコ・コバリヤ氏(投資アドバイザー)は、後知恵の持つ落とし穴について指摘しています。
「1992年にスターバックス株が上場された時に1万ドル分買っていれば、現在それは150万ドルになっている」、というツイートがあった。


たしかにそのとおりだが、それは後知恵であり、言い換えると「生存の偏見」、「生き残りのバイアス」と同じだ。(生存の偏見/生き残りのバイアス: 論理的な誤り。物事を考える場合、生き残った人たちのことだけを考慮し、生き残ることができなかった人たちは完全に無視されていること。たとえば、株ファンドの平均リターンは11%などと報道されることがあるが、これには廃業してしまったファンドは含まれていない。)
では、ここで質問しよう。今日までスターバックス株を持ち続け、実際にミリオネアになっている、ごく普通の個人投資家は何人いるだろうか?正確な数字は分からないが、おそらく一人もいないと私は思う。
1992年に戻ってみよう。その時点では、スターバックスが20年後に世界でビジネスを展開する巨大企業に成長することを示唆する情報は一つも無かった。更に、スターバックスは1992年に新規公開した多数の企業の中の一企業に過ぎず、今日その多くは存在していない。
考えてほしい。数多い1992年の新規公開株の中からスターバックスだけを選び、そして途中の株価の乱高下に動揺することなく、今日まで株を持ち続けることができる確率はどれほどあるだろうか?おそらく、宝くじに当たる確率の方が高いことだろう。
もう一つの有名な例として、コバリヤ氏はロナルド・ウェイン氏を挙げています。

ウェイン氏は1976年4月、アップル・コンピュータ(現在の社名はアップル・インク)に出資して、10%の株を保有する大株主となりました。しかし出資した2週間後、ウェイン氏は持ち株を800ドルで手放しました。もし今日まで持っていれば、氏の資産は600億ドルに膨れ上がっています。

「なんと勿体ない話だ。世界最大の企業の大株主になれたのに」、と思うかもしれませんが、ウェイン氏の例もスターバックスと同じです。1976年の時点で、アップル・コンピュータが今日のアップルに成長することを誰が想像したでしょうか?現に後日、「株を売ったことは後悔していない。あの時点において得ることができた情報を基に考えた場合、売却することは当然な判断だった」、とウェイン氏は述べています。

「後知恵、生き残りのバイアスは危険だ。なぜなら、それらはあなたが実現不可能な投資の大ホームランを打つことができる、という錯覚に陥れるからだ」とコバリヤ氏は結論しています。


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