米国住宅事情: 上昇が止まらない家賃、ますます苦しくなる人々の暮らし

不動産の投資家として有名なサム・ゼル氏が、2万3000件に及ぶアパートを売却する、というニュースが話題になっています。

ゼル氏
金額に換算すると売却総額は54億ドル、そしてこれはゼル氏の投資会社が保有するアパートの25%に相当します。

ゼル氏には優れた嗅覚がある。2007年の住宅市場の天井で、氏は不動産投資会社をブラックストーンに230億ドルで売った前例がある。この売却後、商業用不動産市場の暴落が始まった。(ゼロヘッジ)
もし2007年の再来、そしてゼル氏の嗅覚が今回も正しければ、米国の住宅市場はそろそろ厳しい局面に入る可能性があります。
商業用物件の中で特に好調なのはアパートだ。REIS社の調査によると、最近5年間で、米国のアパートの家賃は平均で20%の上昇だ。(ウォールストリート・ジャーナル)
下のチャートはゼロヘッジに掲載されていたものですが。見てのとおり、アパートの家賃の上昇が続いています。

ゼロヘッジ: アパートの家賃の推移(中間価格)
上のチャートを見ながら考えてほしいことがある。最低労働賃金で働いている人たちが借りることのできるアパートは、全米に一件も存在しない。ここが天井だ、と言いたくなる。(ゼロヘッジ)
CNBCは、こんなことを報道しています。
住宅を借りるのが難しくなっている。住宅ブーム前は人々の月収の24.4%が家賃に割り当てられていた。しかし今日、その数値は史上最高の30.2%だ。更に2025年までに、月収の50%以上を家賃に割り当てる世帯数は、現在の1180万から1310万に達することが予想されている。
ウォールストリート・ジャーナルが報道しているように、過去5年間でアパートの家賃は20%も上がっています。しかし、人々の年収はこんな状態です。

資料: セントルイス連銀
実質中間世帯所得の推移ですが、見てのとおり、人々の年収は目減りしています。上昇の止まらない家賃、その他にも自動車ローン、学生ローン、医療保険、クレジットカード、と月々の出費は多々ありますから、正に「働けど働けど我が暮らし楽にならざり」です。

サム・ゼル氏は、アパートを借りて住んでいる人たちの降伏点が近いと思っているのではないでしょうか。富裕層なら家賃の上昇についていくことができますが、中間層の人々には限界があり、もうこれ以上は払えないという降伏点があります。家賃ばかりが一方的に上がったのでは、人々は旅行や娯楽などの他の物に回す金が無くなりますから、最終的には米国経済に悪影響です。ひょっとするとゼル氏は、米国に景気の後退がそろそろ訪れると判断して保有する25%のアパートを売却する気になったのかもしれません。

(参照した記事:Peak Housing 2.0: Sam Zell Dumps 23,000 Apartments In 2007 Deja Vu

Sam Zell Edges Out of Apartments

Renters, get ready to take it on the chin

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