IMFから再要請: 米国は急いで金利を引き上げる必要はない

注目されていた8月の米雇用統計が発表されました。
[ニューヨーク 4日 ロイター] - 4日の米国株式市場は主要株価指数が1%を超える大幅下落となった。朝方発表された8月の米雇用統計は強弱まちまちの内容で、利上げ時期に関する明確な判断材料とならず先行き不透明感が強まった。
さて、9月17日のFOMCで、イエレン議長は金利引き上げに踏み切るでしょうか?

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誰の意見を聞くかで見方は大きく変わりますが、下はペンション・パートナーズのチャーリー・ビレロ氏のツイートです。

非農業部門の雇用者数は、史上最高の59か月連続の成長だ。こんな状況にもかかわらず、連銀は25ベーシス・ポイント(0.25ポイント)の金利引き上げが出来ないのか?
明らかに、ビレロ氏は、金利引き上げは当然実施されるべきだ、という意見です。

金利引き上げはありえない、それどころか米国は量的緩和に逆戻りする、という見方をしているピーター・シフ氏(ユーロ・パシフィック・キャピタル)は、こうツイートしています。

94,031,000人という記録的な数の米国市民が労働力人口に含まれていない。労働参加率は、過去38年間で最低という状態が3か月も続いている。
ゼロヘッジは、一つ気になることを指摘しています。
チャレンジャー社から、8月の米国企業人員削減レポートが発表された。これによると、8月に削減された人員数は4万1186人におよび、前年度同時期を2.9%上回った。注目したいのは、これで7か月連続で、解雇された人たちの数が前年度同時期を上回った。もう一つ指摘したいのは、人員削減数の上昇は、新規失業保険申請者数が記録的な低レベル、という状況で起きていることだ。
下が最近10年間の、米国における新規失業保険申請者数の推移です。

データ:セントルイス連銀
灰色の部分が景気後退期です。正に、記録的な低レベルに下がっています。株のチャートにたとえて言うなら、そろそろ底打ちとなり上昇が始まってもおかしくない状態です。

上のチャートを、ダウ工業株30種平均と見比べてみましょう。


ダウが底打ちとなったのは2009年3月、そして新規失業保険申請者数が天井となったのも2009年3月です。 正に、下降する新規失業保険申請者数が株を買う大きな一因となった、という様相です。

ゼロヘッジの記事に戻りましょう。
今年の8か月間で、米国企業は去年の同期間で解雇した332,931人を31%上回る434,554人を解雇した。言い換えると、一か月あたりの人員削減は54319人に相当し、このペースで行くと、今年は65万人を超える人たちが職を失うことになる。これほどの人が解雇されるのは、2009年以来(1,272,030人)初めてだ。
繰り返しますが、現在の新規失業保険申請者数は記録的な低レベルです。しかし、今年既に解雇された人、そして解雇が予想される人々の数は2009年以来最高です。要するに、労働市場の悪化が見え始めているわけですから、新規失業保険申請者数の下降は終わり、そろそろ上昇に転じると思われます。

最近10年間だけでなく、1970年までさかのぼって新規失業保険申請者数を見てみましょう。

データ:セントルイス連銀
極端に低いレベルまで下がった後は上昇、そして景気後退(灰色の部分)がやって来ます。最近の不安定な米国株式市場は、大幅下落となった中国株式市場が原因だと言われていますが、米国の景気後退がそろそろ始まる、と判断して持ち株を処分している人もいることでしょう。はたして、こんなタイミングで利上げをして良いのでしょうか?

ラガルドIMF専務理事は、「米国は金利引き上げを来年まで見送るべきだ」、と6月に述べていますが、同じ意見を今週末再度発表しています。
FRBは急いで金利引き上げを決定する必要はない。金利を引き上げたが、その後で直ぐに決定をくつがえして、金利引き下げをまた行うという可能性があるのなら、米国は金利引き上げに踏み切るべきではない。
もう一度、上の新規失業保険申請者数のチャートを見てください。ここから、更に大幅に申請者数が減ることは考えられません。解雇される人々の数の上昇が始まっていることを考えると、経済活動の失速を心配した方がよさそうです。

(参照した記事: 米国株式市場は大幅下落、雇用統計で先行き不透明感強まる

ピーター・シフ氏のツイート

チャーリー・ビレロ氏のツイート

Total 2015 Job Cuts To Be Biggest Since 2009: Challenger

IMF's Lagarde says Fed should not rush its rate rise decision

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