スター不在の米株ミューチュアルファンド業界

私がこの業界へ入った30年前、株のミューチュアルファンド・マネージャーたちは有名だった。しかし今日、有名なのは債券のファンド・マネージャーたちだ。 -- ダン・カーン(アドバイザー・パートナーズ)
そう言われると、たしかに名前が出てきません。70年代、80年代までさかのぼると、ピーター・リンチという株ミューチュアルファンドのスーパー・スターがいました。

ピーター・リンチ
リンチ氏は1977年から1990年までマジェラン・ファンドのファンド・マネージャーを務め、年間平均で+29.2%というS&P500指数の伸び率の2倍に相当する素晴らしい成績を残しました。

米国の株式市場は、今年で7年目という長いブルマーケットが続いています。しかし今日の米国には、誰でも知っているという有名な株ミューチュアルファンドのマネージャーがいません。何故なのでしょうか?好調な株式市場が続いている訳ですから、有名なマネージャーがいてもおかしくないと思うのですが、名前が全く出てきません。

ジョシア・ブラウン氏(投資アドバイザー)によると、ミューチュアルファンドで有名なフィデリティ社から去年流出した金額は2013年の2倍に相当する160億ドルです。これはフィデリティだけに起きた現象ではなく、業界全体に共通して言えることです。
モーニングスター社の調べによれば、2006年以来、投資家たちがミューチュアルファンドを解約した総金額は7000億ドルにおよぶ。正に、ミューチュアルファンドは、投資家たちから全く信頼されていない。-- ジョシュア・ブラウン
言うまでもなく、リンチ氏のような優れたファンド・マネージャーがいなくなってしまった、ということがミューチュアルファンド離れの一因になっていると思われます。
ファンド・マネージャーは投資のプロなのだから、彼らにはS&P500指数やダウ平均を上回る投資成績を上げることが出来る筈だ。しかし、現実はそうでない。最近発表されたレポートによると、2014年、86%のファンド・マネージャーはS&P500指数を超える成績を上げることが出来なかった。これは去年に限ったことではない。過去5年間を見ると、89%のファンド・マネージャーの成績はS&P500指数以下であり、過去10年間なら82%が指数を下回る成績だ。(CNNマネー)
とうぜん疑問になることは、なぜファンド・マネージャーはピーター・リンチ氏のようにS&P500指数を上回る成績を上げることが出来ないのでしょうか?
大きな原因の一つは金融危機だ。2008年のマーケットは暴落となり、その結果ファンド・マネージャーたちの投資スタイルは極めて慎重、保守的なものになってしまった。 -- ニコラス・コラス(ConvergEx)
成績がパッとしないだけでなく、高い管理手数料も株ミューチュアルファンド不人気の原因になっています。CNNマネーによれば、ミューチュアルファンドは、0.6%から1%の管理手数料を投資家たちから毎年取っています。しかしインデックス・ファンドなら0.1%から0.2%です。

ミューチュアルファンドは廃れ、それとは反対に毎年資金が増えているのはETF(上場投信)です。ご存知のように、ETFは株と同様に売買できますから、もし気に入らなければ今日買って明日売ることができます。ファンド・マネージャーに任せてもS&P500指数を上回ることが出来ないのですから、それなら自分でやろうという人にとってETFは有難い存在です。

ETFには、こんな事実もあります。
驚くことに、ETFを最も積極的に利用しているのはファンド・マネージャーたちだ。今日、米国取引所の出来高の25%から30%はETFが占め、10年前の10~15%を大きく上回っている。(バロンズ)
バイオテクノロジー株専門のETF、ハイテク株専門のETF、金のETF、穀物専門のETF、と種類は豊富に揃っています。ファンド・マネージャーたちも積極的に利用しているということですから、ETFはこれからも大きく伸びることでしょう。

(参照した記事:You've Never Heard of the Bull Market's Best Stock Pickers

Abigail Johnson’s Blind Spot

Goldman Sachs: Few Investors Appreciate Influence of ETFs on the Market

86% of investment managers stunk in 2014

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