2015年1月20日火曜日

為替取引業者FXCM、受け入れた救済条件はあまりに厳しかった

破綻を免れた、と思ったのですが、米国最大の為替取引業者FXCMの将来は、皆が思っている以上に深刻です。フランの上限廃止というスイス中銀からの突然の発表で市場は大混乱となり、FXCMの顧客に2億2500万ドルという巨額な債務が発生し、FXCM社は破綻寸前に追い込まれました。

翌日の金曜(16日)、倒産間違いなしと判断した投資家たちは、マーケット開始前の時間外取引で株を投げ、FXCM株は11ドル15セント安、88.28%の暴落となり、株価はたったの1ドル48セントになりました。しかし、通常取引が始まると株の取引は停止となり、投資家たちは一日中何もすることができませんでした。ニュースが流れたのは、金曜のマーケットが終了する約30分前です。

ロイターのヘッドライン
正に朗報です。これでFXCMは倒産を回避した、と多くの人々は思ったことでしょう。金曜の通常マーケット終了後、FXCM株の時間外取引が行われ、木曜の12ドル台まで戻ることはありませんでしたが、株価は4ドル38セントまで回復しました。言い換えると、通常取引前の時間外取引で買った人たちは、高利益で株を売却することができた訳です。もちろん、更なる上昇を期待して、4ドル台で買った人もいたことは間違いありません。

月曜はキング牧師の日で米国株式市場は休み、そして火曜、FXCM株保有者を待っていたのは、この報道です。

ブルームバーグの見出し
(注: 株価が10分の1というのは、木曜の通常取引の終値から10分の1という意味になり、時間外取引の株価は考慮されていません。)

問題となったのは、ヘッドラインに示されているように、公表された救済条件です。FXCMはリューカディア(投資銀行ジェフリーズの親会社)から3億ドルの融資を受けたわけですが、融資条件の中には、次の二項目も含まれていました。
・ リューカディアにはFXCMを売却できる権利があり、売却額の少なくとも半分を得ることができる。
・ 2年間の融資金利は、年10%から17%まで上昇させることができる。
この条件を見て、直ぐに頭に浮かんできたのは「read the fine print」、という言葉です。readは読む、fine printというのは細かい活字のことですが、契約書などの重要な書類にサインをする場合は、たとえ面倒でも細かい活字で記された条件を先ず全て読む必要があります。

3億ドルの融資ニュースを聞いて、金曜のマーケット終了後の時間外取引で買った人たちは、正に細かい活字を読まずに出動した人たちです。そして今朝、株価が10分の1になってしまったのは、投資家たちが細かい活字で記されている救済条件を発見したためです。(もちろん、感情的な狼狽売りもあります。)
FXCMの経営陣は他の方法も検討し、選択肢の中で破壊力が最も少なかったのがリューカディアから提示された融資案だった、ということだろう。しかしFXCMはこの融資を受け入れたことで、FXCM株の価値は事実上ほとんど失われた。とにかく、事はあまりにも急激に起きてしまった。この一件が私たちに明確に教えていることは、あまりにも高いレバレッジだ。(FXCM社は、顧客に最高で口座資金の200倍までのレバレッジを与えていた。) -- ウィリアム・カッツ(シティグループ)
更にカッツ氏は、「FXCMは刑罰的な条件を避けるために、4月までに身売りすることになるだろう」、と語っています。

(参照した記事:フラン暴騰で巨額損失のFXCM、リューカディアが3億ドル融資

外為ブローカーのFXCM、株価が10分の1に-救済条件公表

Market gives thumbs down to FXCM after rescue deal

FXCM Owners Are Almost Wiped in Swiss Franc Turmoil

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