2015年1月5日月曜日

下げが止まらない原油、ついに50ドルを割る

話題は、何と言ってもこれです。
単純に考えれば、「これでガソリン価格も更に下がることになるから、消費者には嬉しいニュースだ」、ということになるのですが、ジェフリー・ガンドラック氏(ダブルライン・キャピタル)は、こんなことを指摘しています。

今日、原油は極めて重要だ。もし原油価格が1バレル40ドル付近まで下げると、米国債(10年債)の利回りは1%に下がっていることだろう。(現在の利回りは2.04%) 私個人的には、そこまで原油価格が下がらないことを願っている。なぜなら、原油が40ドルに達するということは単に経済の問題ではなく、世界に大きな変調が起きることを示している。ストレートな言い方をすれば、原油価格40ドルがもたらす地政学的な結果が怖い。
なぜ原油は下げ続けているのでしょうか?プーチン大統領は、こう語っています。
原油下落については多くの説がある。たとえば、米国とサウジアラビアが組んで原油価格を下落させイランを制裁、そしてロシアとベネズエラの経済に打撃を与えることではないだろうか?
世界主要産油国の損益分岐点は100ドル以上ですから、現時点では原油を生産しても赤字になるだけです。シティグループのアナリストによると、シェールブームのアメリカも原油が50ドルに達すると苦しくなります。ガンドラック氏が指摘しているように、これ以上の原油価格下落は地政学的に大きな心配材料になりますから、テロ活動に十分な警戒が必要になってきます。

ご存知のように、ウクライナ問題が発端となって、米国とロシアの関係が一気に冷え込んでいます。
米国は12日、ウクライナ問題をめぐる対ロシア制裁を強化した。ロシアの主要産業である石油や防衛産業を標的とし、金融セクターの米国での資金調達をさらに制限する。同日に追加制裁を発動した欧州連合(EU)に足並みをそろえる。(ロイター: 2014年9月13日)
制裁の強化、下げが続く原油にもかかわらず、プーチン大統領の強硬姿勢に変化は見られません。単に意地になっているだけでしょうか?こういう見方があります。
原油安がロシア経済に悪影響となるのは間違いない。しかし、悪影響の度合いは誇大に報道されているようだ。原油価格の下落はロシアの財政、経済成長、そして貿易収支に打撃を与えることは確かだが、それらが現実化しプーチン政権を脅かすようになるにはかなりの時間が必要だ。更に頭に入れておくことは、急激に起きたルーブル安で、損益分岐点となる原油価格も大きく下がっている。
ということで、ロシアの経済を本当に弱らせたいなら、原油の下落はもうしばらく続かなくてはなりません。

先日の報道によると、ほとんどのロシア国民は「米国がサウジアラビアと共謀してロシア経済を弱らせようとしている」、というプーチン大統領の意見に賛同し、反米感情は冷戦期以来最高のレベルに達しています。現に、モスクワのショッピングセンターの入り口にはアメリカの国旗が描かれたドアマットが置かれ、人々が靴からドロを拭き落としています。

写真:マイケル・スナイダー氏のブログから
繰り返しになりますが、経済的な制裁にもかかわらず、プーチン大統領は強硬な姿勢を続けています。ロシアを本当に窮地に追い込んでしまったら、プーチン大統領はナショナリズムに訴えて、ウクライナ以外の地域へも兵を送り込むことが十分に考えられます。ガンドラック氏が言うように、原油のこれ以上の下落は単なる経済問題ではなく、世界情勢を大きく崩す不安材料です。


(参照した記事:CRUDE OIL JUST BROKE $50

Who Is Behind The Oil War, And How Low Will The Price Of Crude Go In 2015?

This Is How Much Russians Hate America…

米が対ロシア制裁強化、銀行最大手も対象に

0 件のコメント: