米国投資家が寝ている間に発表されたスイスからの一大ニュース

津波だ、爆弾だ、というニュース・ヘッドラインで分かるように、人々はスイス中銀のフラン上限撤廃に驚愕です。
[チューリヒ 15日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行)は15日、過去3年にわたり維持してきたスイスフランの対ユーロの上限、1ユーロ=1.20フランを廃止すると発表した。発表を受けてスイスフランは30%近く急騰、通貨高による輸出下押しへの懸念からスイス株は急落した。
この一大ニュースが発表されたのは米国東海岸午前5時前、そして西海岸は午前2時前でしたから、ほとんどの人たちはまだ寝ている時間帯です。今朝、このチャートを見たトレーダーたちは絶句したことでしょう。

ユーロ・スイスフランの日足(強烈な陰線)
過去3年にわたり、スイス中銀は1ユーロ=1.20フランの上限を保証し続けてきました。言い換えると、中銀という強い味方がいるのですから、投資家たちは安心しきった状態でした。
・ 先週発表されたシカゴ・マーカンタイル取引所のデータによると、多数のヘッジファンドがスイスフランの空売りポジションを抱えている。具体的に、どのファンドがどれ程の損となったかは現時点では不明だが、今日のスイスフラン急騰で膨大な損が出ていることは間違いないだろう。(ウォール・ストリート・ジャーナル)
・ どんなマーケットでも、このような極端な動きが起きると、多くの人たちに多大な損が発生することは簡単に予想できる。 -- ジョー・ワイセンタル(ブルームバーグ)
痛い目にあったのは為替トレーダーやヘッジファンドだけではありません。スイスの株式市場は約9%の下落となり、1989年以来最大の下げ幅を記録です。今日のフラン上限廃止発表について、ウォール・ストリート・ジャーナルは、五つの問題をあげています。
1、スイスからの輸出の50%がユーロ圏向けであることを考えると、急激なスイスフランの上昇はスイス企業に悪影響となる。
2、ユーロ建て証券に対する需要が減る。
3、スイスフラン上限廃止が実施されることは誰も予期していなかったから、レバレッジを利用しているヘッジファンドは膨大な損を出す可能性がある。
4、スイスフランの上昇で、外国からのスイスフラン建ての住宅ローン利用者が打撃を受ける。
5、スイス中銀の信用低下。
もちろん、スイス中銀の措置を支持する声もあります。
スイス中銀は、良い点と悪い点を十分考えた上で、今回の事を決定した筈だ。中期、長期的に見れば、スイスフランの上限廃止は論理的に正しいだけでなく、長期的なスイス経済成長とインフレ期待に貢献することになるだろう。スイス中銀は、経済が自然な経過をたどることが重要であることを認め、人工的に安く抑えられたスイスフランはインフレに間接的な効き目しかなかったということだ。今回の措置は、日銀への強いメッセージになるだろう。 -- スティーン・ジェイコブセン(サクソ・バンク)
なぜ、こんなタイミングでスイス中銀は上限撤廃を発表したのでしょうか?
今回の発表は、量的緩和(QE)策が発表されるとの観測が高まっている欧州中央銀行(ECB)理事会の開催を1週間後に控えたタイミング。実際にECBがQEに乗り出せば、スイス中銀は上限維持に向け継続的な市場介入を余儀なくされる可能性があった。(ロイター)
言い換えると、スイス中銀は、ヨーロッパを救うためにユーロ安政策を推進するドラギ総裁には勝てない、と判断した訳です。

(参照した記事:Here's What the Swiss Central Bank Just Did and Why It's Such a Shocker

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