この人が投資の本を書いた!? 読む価値はあるのだろうか??

皆さんの中にも、アンソニー・ロビンズという名前を聞いたことがある人がいると思います。米国ではトニーという愛称で呼ばれ、人にやる気を起こさせる演説家(motivational speaker)として有名です。

ロビンズ氏が最近出版した本が、金融業界で働く人たちの間で話題になっています。


タイトルはMoney  Master the Game(マネー・ゲームをマスターせよ)、そして副題は7 simple steps to financial freedom(経済的自由への7つのシンプル・ステップ)です。

繰り返しになりますが、ロビンズ氏は人にやる気を起こさせるモチベーショナル・スピーカーです。極論になりますが、彼の言うことはいつも同じであり、要約すると「やってやれない事はない」の一言につきます。

「私は株で儲けることができる!必ず儲かる!私は投資で成功する!」、と自己暗示にかければ、誰でも投資で成功することができるのでしょうか?投資アドバイザーでもファイナンシャル・プランナーでもないロビンズ氏が投資の本を書いたのですから、言うまでもなく金融業関係者たちは懐疑的です。
一つ確実に言えることは、トニー・ロビンズは物を売るのが上手い。 -- タダス・ビスカンタ(アブノーマル・リターンズ)
バリー・リットホルツ氏(経済コラムニスト、投資アドバイザー)は、こう述べています。
トニー・ロビンズは自己啓発の天才であり、彼を絶賛する著名人も多い。よく起きることだが、一分野で大成功すると、他の分野でも成功できるとカン違いする人たちがいる。例をあげれば、マイケル・ジョーダンはバスケットボールでは天才だったが、野球の選手としては二流だった。
自分の専門分野外に手を伸ばすのは危険なことであり、ロビンズは投資アドバイスに手を出している。5年前、ロビンズは重要な発表と題して、株に関するアドバイスを動画でオンラインで公表したことがある。「史上最大のバブルが弾けようとしている。今は株を売るときだ」、という内容であり、もちろんタイミングの悪い酷いアドバイスだ。(動画が公表された日のS&P500指数は1121、昨日の終値は2051。)
カレン・ローシ氏(プラグマティック・キャピタリズミ)によると、ロビンズ氏の本のバック・カバーには、こんなことが書かれているそうです。
マーケットの暴落という局面でも利益を上げることができた今まで発表されたことがない、世界最大のヘッジ・ファンドが使っている方法を身に付けよう。
マーケットが下げている時も決して損をすることがなく、裕福な投資家ように投資をしよう。
そして、ローシ氏は、こう語っています。
「今まで発表されたことがない、世界最大のヘッジ・ファンド」、というのはレイ・ダリオ氏の全天候型投資法のことだ。もちろん、この手法は既に発表されており、「今まで発表されたことがない」というのは正確な表現ではない。
さて、ロビンズ氏が本で勧めている投資方法は国債(55%)、株(30%)、商品(15%)というポートフォリオだ。先ず明らかに言えることは、これはダリオ氏の全天候型投資法とは違う。ダリオ氏が提唱しているのは、15以上の相関関係の低いものに投資することであり、ロビンズ氏が勧めているのは国債、株、商品の3つだけだ。
更に、ロビンズ氏のポートフォリオは国債が占める割合が極めて高い。「バック・テストの結果はとても良かった」、とロビンズ氏は言うが、長期間にわたって国債のブルマーケットが展開されていたのだから、それは当たり前のことだ。少し考えれば分かることだが、向こう30年間、国債が過去30年間のような成績を上げることは不可能だ。
最後に、バリー・リットホルツ氏の言葉をもう一度引用しましょう。
5年前のロビンズ氏のアドバイスの逆を実行することで利益を上げることができた。ロビンズ版の全天候型投資法は、惨めな結果に終わることだろう。

(参照した記事:Should you buy what Tony Robbins is selling?

Assessing the Ray Dalio/Tony Robbins Portfolio

Trade Against a Self-Help Genius

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