下降するトレンドラインをブレイクアウト、しかし資金は逃げている??

3月7日、マーケットウォチに、こういう見出しがありました。


「データには、投資家たちが新興市場を相変わらず避けている様子を見ることができる」、という意味になり、これがデータです。


このチャートには、新興市場の株と債券ファンドへの資金の流入/流出状況が示されています。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ、EPFR グローバル、そしてリッパー社から発表されたデータを元にチャートは作製され、0%より下に長く伸びる灰色の線で分かるように、最近は新興市場から資金が流出しています。

資金が流出しているなら投資対象から外したほうが良い、と思うかもしれませんが、下のチャートを見てください。


iShares MSCI Emerging Markets (EEM)という新興市場の株を専門に投資しているETFです。マーケットウォッチによれば、投資家たちは新興市場を避けている訳ですが、上のチャートには資金の流入を見ることができます。3月25日、ETFは下降するトレンドラインを突破(A)です。更にその二日後(B)には200日移動平均線を越え、上昇に弾みがついています。

投資家に嫌われ資金が逃げている状態なら、下降するトレンドラインを越え、下げ基調が上げ基調に転換するなどといったことは起きません。資金は新興市場から本当に流出しているのでしょうか?

マーケットウォッチの記事は3月7日ですが、その2日前、CNBCはこう報道しています。
「最近のニュースを聞いていると、投資家たちは一斉に新興市場から逃げていると思ってしまうが、それは正確な状況ではない」、とアルバート・アデス氏(バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ)は言う。注目すべき事として、氏は次の三つを挙げている。
1、新興市場の政府と企業は記録的な量の債券を最近発行している。待っていたのは、投資家たちの強い買い意欲だ。
2、新興市場の通貨危機が問題視されているが、去年の6月以来、事態は安定し始めている。
3、大手ファンドのマネージャーたちと話して分かることは、新興市場から逃げているのは個人投資家たちであり、機関投資家たちは引き続き新興市場に投資している。
更にアデス氏は、資金流入/流出データにも問題があることを指摘しています。ある社のデータは大きな流出、そして他社のデータには、ほとんど流出が見られないといった状況なので、どの社のデータを重要視するかで違った結論が出てしまいます。

もう一度iShares MSCI Emerging Markets (EEM)のチャートを見てください。もちろん、このブレイクアウトは騙しの可能性もあります。しかし、トレンド転換の兆しが見えていることも事実ですから、しばらく新興市場に注目してみようと思います。

(情報源:Flows data show investors still want nothing to do with emerging markets

Are emerging markets really suffering from outflows?

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