匿名の記事は信用できない??

下は、ウォール・ストリート・ジャーナルから取ったものです。


注目してほしいのは下線の部分です。By MATTHEW FUTTERMANと記され、記事を書いた人の名前が明記されています。では、もし記者名が「怪人二十面相」だったら、皆さんはその記事を読むでしょうか?

問題になっているのは、「Seeking Alpha」という人気株サイトです。



個別銘柄情報、ETF、海外投資、ニュース速報、と幅広い分野をカバーしたサイトなのですが、このサイトでは匿名で記事を書くことが認められています。Seeking Alphaの編集長、エリ・ホフマン氏は、こう説明しています。
企業の不正を暴露するような記事を本名で書くと、書いた人が脅迫されたり、暴行を受けるといったことが時々起きます。そのような被害を防ぐために、当サイトは匿名での投稿を許可しています。言い換えると、匿名を許さず本名で書かれた記事だけを掲載することは、買い推奨ばかりが目立つサイトになってしまいます。
考えさせられる言葉です。暴露記事は本名では書けないものなのでしょうか?極端な言い方になりますが、ホフマン氏の言葉は、「匿名なら人の悪口は言えるが、本名なら言えない」、と聞こえます。

Alexa(ウェブ情報会社)によれば、seekingalpha.comのグローバル・ランキングは第900位です。株のテレビ局として有名なCNBCのサイトは第629位、ブルームバーグは352位、そして日本経済新聞のグローバル・ランキングは842位ですから、Seeking Alphaには大きな影響力があります。

Seeking Alphaが問題になっている、と上記しましたが、経済誌バロンズによると、株価を上昇させることを目的に、Seeking Alphaの匿名性が利用されているようです。
最近Seeking Alphaは、ガレナ・バイオファーマ株に関する2つの記事をサイトから削除した。両記事とも株の買いを勧める内容であり、両方とも匿名が使われていたが、書いたのは同一人物だった。要するに、一人の人物が違った匿名を使って買い推奨記事を書いた訳だが、ガレナ・バイオファーマ株には以前にも同じことが起きている。(2013年1月、同一人物によって書かれた5つのガレナ・バイオファーマ株に関する記事が削除されている。)
今回の記事が特に問題なのは、ガレナ・バイオファーマ社は宣伝会社を雇って書かせた記事をSeeking Alphaに載せた、という形跡がある。入手した書類によれば、記事はガレナ・バイオファーマ社を宣伝することで株価をつり上げる、という目的があった。宣伝が功を奏し、株価は去年の夏から3倍になり、単なる偶然かもしれないが、内部関係者たちは持ち株を処分して大きな利益を手に入れることができた。
多くの人々がSeeking Alphaにアクセスする理由の一つに、大衆はウォール・ストリート・ジャーナルのような既存メディアに飽きてしまった、ということを挙げることができます。ツイッターやフェイスブックの大人気で分かるように、人々は自らが参加できるSNSに大きな魅力を感じています。Seeking Alphaは、正にこのSNS型の株サイトですから、既存メディアのようなお固い感じはありません。

もう一度ホフマン氏の言葉を書きましょう。「匿名を許さず本名で書かれた記事だけを掲載することは、買い推奨ばかりが目立つサイトになってしまいます。」これには一理あると思います。本名と所在する会社を名乗って、他社の悪口を書くことは気が引けるものです。言うまでもなく、賞賛記事を書く方が気が楽です。

しかし匿名なら平気で悪口を書くことができます。良い例はツイッターです。30分もやれば分かることですが、本名でツイートしている人は少なく、ほとんどの人が匿名(ハンドル名)ですから、普通なら面と向かって言えない失礼なことが平気でツイートされています。言い換えると、SNSは人間の本音が表れやすい場所ですから、匿名での記事を許可しているSeeking Alphaは興味深いサイトだと思います。しかし、匿名に隠れていたのでは、ウォール・ストリート・ジャーナルのような権威あるメディアにはなれないことも事実です。


(参照した記事:When Investor Websites Get Duped

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