米国住宅市場: ローンは不要です、現金で買います

「米国における先週の住宅ローンの申し込み数は、ほぼ史上最低の数値だった。しかし、先月12月に住宅を購入した人たちの42%は、ローンを使わず全て現金の一括払いだった。この42%は史上最高だ。」 -- ライアン・デトリック氏(シェイファーズ・インベストメント・リサーチ)
42%ということは、ほぼ半分の人たちが、現金で家を買ったことになる。12月に販売された住宅の中間価格は16万8391ドルということだから、円に換算すると約1720万円だ。金持ちなら1720万円など大した額ではないが、我々庶民には簡単に出せる金額ではない。

現金による購入が50%を超えていたのは次の5州だ。

フロリダ: 62.5% 
ウィスコンシン: 59.8% 
アラバマ: 55.7% 
サウス・カロライナ: 51.3% 
ジョージア: 51.3%
グラフ:npr.org

上のグラフには、現金で購入された住宅の比率が示されている。先月12月は42%の史上最高の数値となった訳だが、見てのとおり、現金での購入がいきなり増えたのは去年の夏頃からだ。
現金による住宅購入が増えている理由はいくつかある。先ず指摘したいのは、去年の夏に大きく上昇した住宅ローン金利だ。上昇したと言っても、歴史的に見れば現在の金利はまだ低いが、金を借りることが割高になったことは確かだ。
住宅ローン金利の動き(zillow.comから)

融資基準が高くなっていることも現金購入者が増えている原因だ。銀行の審査が厳しくなり、以前のように簡単に金を借りることができない。
更に、賃貸利益を目的に、機関投資家たちが住宅を積極的に現金で買っている。12月に現金で住宅を購入した人たちの20%が機関投資家だった。ローンを利用した購入も含めて、全住宅販売数で見た場合は、機関投資家が占める割合は約8%になる。
ダレン・ブロムクイスト氏(RealtyTrac)は、こう述べている。「現金による一括払いの購入者が大きく増えているのは問題です。なぜなら、住宅市場の運命は、一部の裕福な人たちにコントロールされているからです。」 クリス・マーテンソン氏(PeakProsperity.com)は、こんな例を紹介している。
ユタ州のソルトレイクシティで講演した時のことだ。会場に来ていた不動産業者が、こんな話をしてくれた。「最近変わったことが起きているのです。資金を豊富に持つ州外からのプライベート・エクイティ・ファンド会社が、現金で次々と住宅を買っているのです。彼らは選り好みすることなく、価格を値切ることなく、表示されている値段でどんどん買っていくのです。ファンド会社と競争はできませんから、一般の人々が、なかなか住宅を買えなくなっています。」
ということで、ソルトレイクシティの住宅価格は上昇し、それと同じ現象が全米各地で起きている。問題なのは、最近の住宅価格の値上がりは、金融機関の資金によって歪められている、とマーテンソン氏は言う。
住宅価格の上昇は米国経済の回復を示している、と報道されている。金融危機で特に大きな被害を受けた地域、たとえばフィニックスの住宅価格は+22.5%、サンフランシスコは+22.2%、ラスベガス+20.6%、アトランタ+19.1%、デトロイト+18.5%、そしてロサンゼルスは+16.6%と大きく上がっている。しかし事実は、それらの市で積極的に現金で住宅を買っていたのは大量な資金を保有するファンド会社だ。量的緩和のお陰で有り余るほどの資金を得た彼らは、一般の人々を住宅市場から締め出しているのだ。

(参照した記事:An Astonishing Share Of Homebuyers Are Paying All Cash

All-Cash Home Sales Hit Record 42% of Sales

Housing Prices Are Being Dangerously Distorted by Big Institutional Money

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