訳の分からない米雇用統計、失業率は5年ぶりの低レベル

米国の失業率が7%から6.7%に下がった。2010年は9.9%の高率だったから、米国の雇用状況は明らかに好転していると言えそうなのだが、こういう反論がある。
12月の失業率が大きく下落したのは、34万7000人の人たちが職探しを諦めてしまったためだ。たとえ職が無くても職探しを止めてしまうと、労働統計局は、それらの人々を失業者リストから外してしまう。
下が米労働統計局が定めた失業者の定義になる。

現在職が無く、過去4週間積極的に職を探し、現在就労が可能であること。一時解雇された人も失業者に含まれる。
過去4週間、職探しを全くしなかった人は失業者と認められないだけでなく、労働力人口からも外されてしまう。

次に、米国の労働力率(生産年齢人口を占める労働力人口の割合)を見てみよう。



下降が明らかだが、マーク・ゴングロフ氏(The Huffington Post)は、こう書いている。
労働力率が1978年以来最低の62.8%に落ち込んだ。ベビーブーム世代の人たちの引退が影響しているという説明もあるが、低迷が続く労働力率には、十分な数の職を作り出すことができない弱い米国の経済状況が表れている。一例を挙げると、仕事が中々みつからないため、大学へ戻ったり単に家にいるだけの若者が増えている。
下がったのは失業率だけでなく、非農業部門の就業者数も予想を大きく下回った。
ワシントン 10日 ロイター] -米労働省が10日発表した12月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比7万4000人増と、市場予想の19万6000人増を大きく下回り、2011年1月以来約3年ぶりの小幅な伸びにとどまった。
ただ、一部地域を見舞った寒波の影響が背景にあるとみられ、雇用の伸び鈍化は一時的なものにとどまることが見込まれる。
ナイアガラの滝が凍ってしまった、などという報道もあり、厳しい寒さが米国を襲ったことは事実であり、気候が雇用統計に影響するということは有り得ることだ。PIMCOのモハメド・エルエリアン氏は、こう述べている。
たったの7万4000人増というのは、2011年1月以来もっとも低い数値だ。上方修正された3万8000人を含めたとしても、予想されていた20万人増には大きく及ばない。言い換えると、今朝発表された非農業部門雇用者数は、最近続々と発表されていた米国経済回復レポートとは正反対だ。
雇用統計には、気になる他の数字も含まれている。①停滞する時給、②異常に多い長期失業者、③1978年2月以来、最低のレベルに落ち込んだ労働力率。
心配な内容を含んだ今回の雇用統計だったが、私たちの見解に変化は無い。2014年、米国経済の回復は続き、連銀は今年全般を通して量的緩和縮小を実施し、量的緩和は今年で終了することだろう。
他のアナリストたちの意見も記しておこう。
・ たとえ天候という要因を考慮したとしても、今日の雇用統計はガッカリな内容だ。失業率が下がったのは労働力率の低下が原因であり、発表された失業率には労働市場の状況が適切に反映されていない。 -- ジャン・ハトジウス氏(ゴールドマン・サックス)
・ 弱い非農業部門雇用者数の伸び、それに訳の分からない失業率の低下だ。天候が大きな要因になったことは確かだと思う。27万3000人という通常の2倍に当たる人々が職を失い、天候が明らかに悪影響となったようだ。 -- デイビッド・アドラー氏(CRTキャピタル)
・ どう解釈したらよいのかが分からない雇用統計だ。失業率を除けば全体的に弱さが目立ち、建築関連の仕事が寒波の影響で減ったように、他の職種でも天候が大きな悪影響となったようだ。労働力率の低下が失業率を下げる主な原因となった訳だが、この失業率低下のトレンドは今後も続くことだろう。 -- アラン・ラスキン氏(ドイツ銀行)
・ 指摘されているように寒波が雇用統計に大きな影響を与えたと思う。失業率が5年ぶりの低レベルに下がったことを考えると、FOMCは次回の会議で、更に100億ドルの債券購入縮小を決定することだろう。 -- ポール・アッシウォース氏(キャピタル・エコノミクス)
・ 確かに弱い数値だったが、このことに注目してほしい。7万4000人増えた就業者数だが、そのほとんどは5万5000人増となった小売業界からだ。小売店は、とうとう人を雇い始め、経営者たちは明るい将来を予想しているようだ。 -- アンドリュー・ウィルキンソン氏(インターアクティブ・ブローカーズ)


(参照した記事:EL-ERIAN: Today's Shocking Jobs Report Is Somewhere Between Puzzling And Worrisome

Here's What Wall Street Is Saying About Today's Ugly Jobs Report

Unemployment Is Falling For All The Wrong Reasons

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