2013年5月31日金曜日

認知的不協和と株投資

今日の言葉: 認知的不協和(cognitive dissonance)

私たちが投資の失敗から学べないのは、認知的不協和が大きな原因の一つになっている、とモーガン・ハウセル氏は言う。氏の話を私流に解釈したものが下だ。

タバコは体に悪い。しかし、食後の一服はやめる訳にはいかない。このように、理屈に合わない考え方が認知的不協和だ。体に悪いと思いながらタバコを吸うのは精神衛生によくない。そこで、認知的不協和を無くし、理屈に合った考え方をすると、タバコを吸う罪悪感が消える。例を挙げよう。今日はストレスがたまる一日だった。ストレス解消にはタバコが効果的だ。よし、外へ行ってタバコを吸おう。
株投資でも同様なことが起きる。この株は第2のアップルになる可能性があるから絶対に買いだ、と友人から勧められ、あなたは早速1000株買った。しかし、株価は3%、5%、9%と下げ始め、そろそろ損切ったほうが無難な状況になるのだが、あなたはこう決心する。第2のアップルになることを期待して買った株だ。じっくりと長期保有することにしよう。

なるほど、なるほど、そう言われてみれば確かにそうだ。私たちが株投資の失敗から学べないのは、「失敗した」という最も肝心な事実を認めることができないからだ。更に悪いことは、私たちは自分の行動を正当化する理由を作り上げ、損の出ているポジションを持ち続けてしまう。

カウンセラーをやっている知人がいる。彼の話によれば、アルコール依存症の人は、自分がアルコール依存症であるという事実をなかなか認めることができない。「たしかに毎晩飲んでいるが、これは顧客接待が目的であり、朝から晩まで飲んでいる訳ではない。」「飲むのは金、土、日の週末だけだ。仕事のある日は飲んでいない。」と言い訳ばかりが多く、最初から素直に自分のアルコール依存を認める人は極めて少ないようだ。

あまりにも当たり前なことなのだが、失敗を繰り返さないためには、先ず自分が失敗したという事実を認める必要がある。アルコール依存症の人なら、自分はアル中だという事実を認めること。これが出来ない限り、酒を断つことは不可能だ。

株投資の場合、自分の失敗を認めることは、損の出ているポジションをさっさと切り捨てることを意味する。口で言うのは簡単だが、この損切りを素早く行うのは中々難しい。 どうしたら、うまく損切りを実行することができるだろうか。社会心理学者のハイディ・ハルボーソン氏は、こんな例を挙げている。

いつまでたっても、彼はプロポーズしてくれない。いらいらしたあなたは、新しいヘアスタイル、新しいドレス、そして居間の家具も彼の好みに合わせて買い替えた。しかし、その努力は報われることなく、一向にプロポーズしてくれる気配は無い。彼には最初から結婚する気はないのだから、さっさと別れなさい、というアドバイスも受けたが、あなたは今日も彼と交際している。なぜなら、ここで別れてしまったら、今までの努力が全て無駄になってしまうからだ。

この話を株投資にあてはめると、プロポーズしてくれない彼は、思惑に反して下落する持ち株だ。正しい処置は、さっさと損切ることだが、そんなことをしては今までの努力が無駄になり、大切な資金の一部を失ってしまう。

ハルボーソン氏は、「私たちは失う物に焦点を合わせすぎるため、絶望的な現状と決別することができない。重要なことは自分のゴール、目標に焦点を合わせること。それができるようになれば、途中で起きる間違い、失敗を受け入れることが可能になる」、と語っている。





(参照した記事:Why You Never Learn From Your Investment Mistakes

How to Cut Your Losses When It’s Not Working

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