心配な国債利回りの上昇

5月16日のウォール・ストリート・ジャーナルに掲載された、“日本の国債利回り上昇は何を意味するのか”、という記事を多くの投資家たちが読んだことと思います。こういう部分があります。

利回り上昇を受けて、銀行が住宅ローンなど融資金利を引き上げるなど、今や実体経済に影響し始めている。

昨日のブログで書きましたが、米国も国債の利回りが上昇し、金利に敏感な公益株やリート(不動産投資信託)が売られる結果になっています。

ご存知のように、国債が売られると利回りは上昇し、反対に国債が買われると利回りは下降します。チャートで見るとこうなります。



黒い線が国債の価格、そして赤い線が利回りです。今回のように、国債が売られ価格が下落する局面では利回りが上昇します。

たしかに利回りは上げていますが、歴史的に見ればまだかなり低いレベルであり、現時点では経済への悪影響を心配する必要は無い、という意見もあります。

経済の回復が現在と同速度で進むと仮定した場合、利回りが更にもう1ポイント急ピッチに上昇しないかぎり、国債利回りが経済に悪影響を与えることはない。思い出してほしいことがある。一回目と二回目の量的緩和が終了した時、国債利回りは跳ね上がった。しかし、この状態は長続きせず、利回りは大きく下がってしまった。なぜなら、経済刺激策が無くなり、米国経済が失速してしまったからだ。(マネー・ビート)

心配無用、バーナンキ氏が何とかしてくれる、といった雰囲気ですが、現実は既に心配が始まり上記したように金利に敏感な株が売られています。もちろん、株価以外にも心配すべき点はあり、バリー・リットホルツ氏(ritholtz.com)は、これらのことを指摘しています。

・世界最大の債券運用会社PIMCOは、FRBが出口戦略を開始する前に米国債を売り始めている。この売却タイミングを疑問視する人もいるが、問題は膨大な量の国債が売られているという事実だ。
・利回り上昇が引き起こす金利の上昇を無視することはできない。例えば、住宅ローンや自動車ローンの金利だ。
・現時点で結論することはできないが、2009年の3月に始まった株の上昇相場が終わった可能性がある。
・金利の上昇は企業利益に悪影響となる。更に、このまま国債の利回り上昇が続くと、株より国債の方が魅力的になる。
・利回りが上昇する理由は3つある。①金融引き締め政策 ②インフレ ③増大する資本の需要。もし③が理由で利回りが上昇するのなら、これは経済活動の上向きを表し、もちろん株の買い材料だ。

公益株、リートの売りが既に始まり、今日のマーケットでは住宅建築業の株が大きく売られました。明らかに、投資家たちの心配は、ますます大きくなっています。


(参照した記事:日本の国債利回り上昇は何を意味するのか

To Cheer or Fear Rising Bond Yields?

10 Related Factors, Issues and Concerns Regarding Yield Increases)

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