認知的不協和と株投資
今日の言葉: 認知的不協和(cognitive dissonance) 私たちが投資の失敗から学べないのは、認知的不協和が大きな原因の一つになっている、とモーガン・ハウセル氏は言う。氏の話を私流に解釈したものが下だ。 タバコは体に悪い。しかし、食後の一服はやめる訳にはいかない。このように、理屈に合わない考え方が認知的不協和だ。体に悪いと思いながらタバコを吸うのは精神衛生によくない。そこで、認知的不協和を無くし、理屈に合った考え方をすると、タバコを吸う罪悪感が消える。例を挙げよう。今日はストレスがたまる一日だった。ストレス解消にはタバコが効果的だ。よし、外へ行ってタバコを吸おう。 株投資でも同様なことが起きる。この株は第2のアップルになる可能性があるから絶対に買いだ、と友人から勧められ、あなたは早速1000株買った。しかし、株価は3%、5%、9%と下げ始め、そろそろ損切ったほうが無難な状況になるのだが、あなたはこう決心する。第2のアップルになることを期待して買った株だ。じっくりと長期保有することにしよう。 なるほど、なるほど、そう言われてみれば確かにそうだ。私たちが株投資の失敗から学べないのは、「失敗した」という最も肝心な事実を認めることができないからだ。更に悪いことは、私たちは自分の行動を正当化する理由を作り上げ、損の出ているポジションを持ち続けてしまう。 カウンセラーをやっている知人がいる。彼の話によれば、アルコール依存症の人は、自分がアルコール依存症であるという事実をなかなか認めることができない。「たしかに毎晩飲んでいるが、これは顧客接待が目的であり、朝から晩まで飲んでいる訳ではない。」「飲むのは金、土、日の週末だけだ。仕事のある日は飲んでいない。」と言い訳ばかりが多く、最初から素直に自分のアルコール依存を認める人は極めて少ないようだ。 あまりにも当たり前なことなのだが、失敗を繰り返さないためには、先ず自分が失敗したという事実を認める必要がある。アルコール依存症の人なら、自分はアル中だという事実を認めること。これが出来ない限り、酒を断つことは不可能だ。 株投資の場合、自分の失敗を認めることは、損の出ているポジションをさっさと切り捨てることを意味する。口で言うのは簡単だが、この損切りを素早く行うのは中々難しい。 どうしたら、うまく損切