慎重、安全な投資をモットーにするマーチン・ワイス氏(ワイス・リサーチ)に、読者から次のような質問が送られた。
「30年代の大恐慌と、現在の経済状況の類似点が話題になっています。しかし今回の場合、政府は膨大な救済資金を金融市場に注入していますから、30年代のような厳しい恐慌に陥ることは有りえないのではないでしょうか?」
ワイス氏の回答:
今回は違う、とそう簡単に結論しないでください。たしかに、米政府は莫大な救済資金を投入していますが、次の点を考えてみてください。
・1929年の大暴落前、バブルと言えば株に限られ、株に投資していた人たちの数も今日のように多くありませんでした。今回のバブルは株に限られたものではなく、住宅市場、商業用不動産、そして州政府や企業にも及んでいるわけですから国家的な規模です。
・今日、消費者が抱える借金は、30年代とは比べ物になりません。単に住宅ローンだけではなく、二番抵当、住宅担保ローン、クレジットカードと多様多額な借金で、今日の消費者にはほとんど貯蓄がありません。
・30年代のアメリカは黒字国家でしたが、今日のアメリカは莫大な赤字国家です。たしかに国債を通して、海外から大量な資金が入って来ますが、これが永久に続く保証はありません。
・30年代にはデリバティブ(金融派生商品)などありませんでしたが、現在の金融市場には600兆ドルにのぼるデリバティブが存在すると推定されています。一つのデリバティブが駄目になっただけでも、多くの金融商品に結びついていますから、デリバティブによる被害は簡単に推測することができません。
そして、読者からこんな怒りの声もあった。
「救済資金を受け取った企業の最高経営責任者や幹部たちは、相変わらず高額な給料、それに冬のボーナスを受け取っています。これでは、我々国民が彼らのボーナスを払っているのと同じです!」
ワイス氏の返答:
「私も同様な怒りを感じます。しかし、現状は突然変わることになるでしょう。救済資金を受け取った企業だけでなく、受け取らなかった企業も含めて、最高経営責任者や幹部クラスの年俸は大幅に削減されるでしょう。もちろん、減俸を受け入れなければ首になるだけです。」
(マーチン・ワイス氏)


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